歯周病と糖尿病は関係性があるの?
一見すると歯周病と糖尿病は関連がないように感じます。
ですが、最近の研究では、密接な関係性が示唆され始めているのをご存知でしょうか?
それも、お互いに作用し合うことがわかってきています。
この記事では、歯周病と糖尿病がどのように相互に影響し合うのか、そのメカニズムをわかりやすく解説します。
また、糖尿病患者が口腔ケアや生活習慣の改善によって、どのような効果が期待できるのかも紹介します。
歯周病と糖尿病のリスクを軽減するためのに、ぜひ最後までお読みください。
なぜ歯周病と糖尿病は関係性が深いのか?
日本歯周病学会から、歯周病の進行が糖尿病の血糖コントロールを悪化させる可能性があると示唆されました。
また、米国疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、歯周病と糖尿病は相互に影響し合う関係で、一方が進行することで他方も悪化する可能性があると言われています。
実際に、糖尿病患者が歯周病治療を受けることで、血糖値が改善するという報告も聞きます。
このように、歯周病と糖尿病の関係性は深く、歯周病を予防することが糖尿病の予防にもつながることが分かります。
糖尿病とは?
糖尿病とは、血糖値を下げるホルモン(インスリン)の働きが不十分になる慢性的な生活習慣病の一つです。
世界保健機関(WHO)によると、インスリンの放出が不足するタイプとインスリンの働きが低下する タイプの2種類があると言われています。
国際糖尿病連盟によれば、世界では、約4億人が糖尿病患者であり、そのほとんどが「インスリンの働きが低下するタイプ」の糖尿病だと言われています。
糖尿病の原因
日本糖尿病学会によれば、糖尿病の原因は、運動不足や食生活の乱れなど生活習慣や遺伝的要因、肥満などが原因と言われています。
肥満の人は糖尿病リスクが高まることが報告されており、運動習慣や食生活の改善が必要です。
複数の要因が絡み合っていますが、生活習慣の影響が大きいことから生活習慣病の1つとされています。
血糖値に対して反応するホルモンが影響することから、糖質の過剰摂取などが影響する範囲は大きい予測します。
歯周病とは?
歯周病は、歯周ポケットにプラークや歯石が溜まることで、歯を支える組織が炎症を起こす病気です。
進行すると歯の喪失につながる可能性があります。
成人の約8割がかかると言われており、歯を失う原因の約7割を占めていると言われています。
予防には、定期診断で定期的に歯のお掃除をしたり、食事やブラッシングなどの習慣の改善が大切です。
歯周病の原因
歯周病の原因は、プラークや歯石の蓄積、喫煙、ストレス、糖尿病などが挙げられます。
プラークや歯石が蓄積すると、歯周病原菌が繁殖するので、プラークや歯石が蓄積しないように心がけるのが大切です。
また、喫煙者は歯周病のリスクが高まることが報告されています。
歯周病と糖尿病が相互に影響する
歯周病と糖尿病が相互に影響し合っていることはお伝えしました。
その根拠をより深めるために、以下の3つのポイントから深掘りしたいと思います。
- 歯周病になると歯が抜ける
- 柔らかい炭水化物を好んで食べるようになる
- 栄養素が炭水化物に偏ると糖尿病に影響する
- 血糖コントロールが悪くなる
- 免疫や炎症の関係で歯周病にも影響
- 糖尿病になると口が乾きやすくなる
歯周病になると歯が抜ける
歯周病が進行すると、歯を支える組織が破壊され、最終的に歯が抜けるところまで悪化します。
一度、影響を受けた歯は再生しません。
歯がなくなると
- 歯の噛み合わせが悪くなる
- 噛む圧力が弱くなる
- 痛みなどで噛めない
という状態になってしまいます。
柔らかい炭水化物を好んで食べるようになる
歯が抜けてなくなると、うまく噛めなくなることから、比較的柔らかい食材を重点的に摂取するようになります。
柔らかい食材には、炭水化物を多く含んでいる傾向があります。
そのような食材を好むようになれば、糖質過多になり、糖尿病のリスクも高まってくるでしょう。
タンパク質や脂質を含むお肉や魚などは、歯がない状態で摂取するのは困難です。
栄養が炭水化物に偏ることで糖尿病に影響する
炭水化物中心の食事が続くことで、糖尿病のリスクが高まります。
炭水化物が多く摂取されると、ブドウ糖に分解されて、血糖値が上昇します。
上昇した血糖値は、インスリンの働きにより、低下しています。
ですが、炭水化物を過剰に摂取したり、急激に摂取したりすると、血糖値が急激に上昇します。
もちろん、その上昇に合わせてインスリンの放出するので、次は血糖値を下げ過ぎてしまうという状態に陥ります。
このような仕組みが、さらに炭水化物の摂取を誘発するため、どんどん悪循環に陥ります。
血糖値コントロールが悪くなる
糖尿病が進行すると、血糖値のコントロールが悪くなっていきます。
インスリンを放出する頻度が高いと臓器も疲労します。
インスリンがずっと放出されていると、次第に感受性が低下していきます。(インスリン抵抗性)
それが原因で、血糖値のコントロールができなくなり、糖尿病を患ってしまうというメカニズムです。
免疫や炎症の関係で歯周病も悪化
糖尿病が進行すると、免疫機能の低下や体内炎症が増加していきます。
免疫機能が低下すると、歯周病菌などに対する抵抗力が弱まることが報告されています。
つまり、糖尿病になると、健康的な人に比べて歯周病のリスクが高まるのです。
「甘いものは虫歯や歯周病になりやすい」と言われるように、糖質という栄養素が関係している点は、糖尿病と同じです。
栄養素の観点からも、相互に影響し合うと言えるでしょう。
糖尿病になると口が乾き唾液の分泌量が減る
糖尿病になると、高血糖になるので、脱水症状が起こりやすく、唾液の分泌量が減少します。
そのため、口が乾きやすくなります。
唾液の分泌量が減ると、口腔内の自浄作用が低下するため、プラークや歯石も蓄積しやすくなります。
このような意味合いでも、歯周病と糖尿病は関係性が深いと言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では、歯周病と糖尿病の関係性について詳しくお伝えしました。
糖尿病が進行すると血糖コントロールが悪化し、唾液の分泌量や免疫力などの影響で歯周病の悪化にも起因します。
適切な口腔ケアや生活習慣の改善、バランスの良い食事を心がけることで、歯周病と糖尿病のリスクを軽減できます。
重要ポイント
- 糖尿病は血糖コントロールが悪化する病院である
- 糖尿病が進行すると歯周病も悪化しやすい
- 歯が抜けると炭水化物中心の食事が増え、糖尿病のリスクが高まる
- 適切な口腔ケアや生活習慣の改善が両方の病気の予防に役立つ
- バランスの良い食事が糖尿病と歯周病のリスク軽減に重要