患者さん

最近、腸内環境と健康が注目されているけど、お口とも関係あるのかな?

この記事では、口腔環境と腸内環境の関係性について見ていきたいと思います。

口腔環境を整え歯周病を改善すれば腸内環境も良くなる?

口腔環境を整えると健康的な腸内環境を作るためにも役立ちます。

その理由を以下の3つの観点から見ていきましょう。

  1. 腸内の悪化は全身に悪影響
  2. リーキーガット症候群
  3. 悪玉菌が増える食事

腸内の悪化は全身に悪影響

腸内細菌は、私たちの健康に欠かせない役割を担っています。

腸内環境が乱れると、善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れ、悪玉菌が増える傾向にあります。

この状態が続くと、慢性炎症や免疫系の異常、アレルギー反応、消化不良などの症状を引き起こすと言われています。

さらに、腸内細菌は、代謝機能や栄養素の吸収などの重要な機能を担っています。

つまり、腸内環境が悪化すると代謝が悪くなり、栄養素の吸収率が悪くなるというデメリットが生じるのです。

もちろん、お口の健康を維持するためには栄養が大切であり、免疫系の異常や栄養素の吸収率が低下すると歯周病などお口のトラブルにも影響します。

リーキーガット症候群

リーキーガット症候群は、悪玉菌が増え腸内環境が悪化することで腸壁のバリアが崩れる病気のことを指します。

リーキーガット症候群は、腸内バリアが崩れるため、本来ならば影響のないタンパク質などが腸壁を素通りすることで、免疫系などに異常を起こすと言われています。

免疫系などに異常が起こると慢性炎症をが起こり様々な病気を引き起こす原因になります。

最近は、免疫力が低下すると歯周病リスクは上がると言われています。

悪玉菌が増える食事

腸内細菌のバランスは、食事に大きく影響されます。

特に、悪玉菌が増える食事は、腸内環境の乱れを引き起こす原因の一つです。

腸内環境を悪化させる食事には、糖質、動物性タンパク質、オメガ6系の脂質があります。

これらの食品を過剰に摂取することで、悪玉菌が増え、善玉菌が減ってしまいます。

悪玉菌が増えると、腸内環境が悪くなりリーキーガット症候群につながっていきます。

お口は栄養素を摂取するための入口となる臓器です。

腸内環境を悪化させると言うことは、口腔環境にも与える影響が大きいと言えるでしょう。

糖質

腸内環境を悪化させる栄養素の1つに「糖質」が挙げられます。

糖質は、ご飯やジュース、お菓子など炭水化物を含む食品のことを指します。

特に精製された白砂糖などを摂りすぎると、血糖値が急激に乱高下し身体の健康に悪影響を及ぼすと言われています。

また、糖質を代謝する過程で発酵が起こるため、これが腸内細菌の乱れを引き起こします。

動物性タンパク質

動物性タンパク質は、肉や魚、卵などの食品に多く含まれます。

動物性タンパク質に栄養が偏りすぎると、腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が増殖する傾向があります。

また、腸内の善玉菌のエサとなる食物繊維が十分に摂取できないという問題が起こります。

ですので、動物性タンパク質を摂取する際は、食物繊維もしっかり摂れるように野菜なども摂取する様に心がけましょう。

一方で、植物性タンパク質を多く含む豆類や豆腐、ナッツなどは、腸内環境に良い影響を与えるとされています。

オメガ6系の脂質

オメガ6系の脂質は、揚げ物やお菓子や菓子パンに使用される植物油などに含まれる必須脂肪酸の一つです。

適量であれば必要な栄養素ですが、過剰に摂取すると、慢性炎症や免疫系の異常、心疾患などの病気のリスクが高まることが知られています。

また、オメガ6系の脂質を過剰に摂取すると、腸内環境のバランスが崩れ、悪玉菌の増殖を促進する可能性があります。

一方で、オメガ3系の脂質を多く含む魚や亜麻仁油、チアシードなどは、腸内環境には良いとされています。

オメガ6とオメガ3はバランスが大切なので、オメガ6に偏った食事を避け、オメガ3を積極的に採ることが大切です。

普段の調理は参加に強いオリーブオイルなどを使用するとオメガ6の過剰摂取を防げます。

お口と腸内の関係性とは?

上の理由により、口腔環境と腸内環境は間接的に影響し合っており、腸内環境がお口へ影響を与えることがわかってきました。

また、お口の中の菌や病原体が腸内環境に影響を与えるほか、食べ物を消化・吸収する際に口腔での処理が大きく関わるため、腸内環境にも影響を及ぼします。

虫歯や歯周病が悪化する栄養素

砂糖や精製された炭水化物を多く含む食事は、虫歯や歯周病を悪化させる栄養素として代表例です。

砂糖や精製された炭水化物は、虫歯や歯周病だけでなく腸内環境を悪化させる栄養素でもあります。

このように口腔環境を悪化させる栄養素と腸内環境を悪化させる栄養素は共通しています。

歯周病菌は全身に広がる

歯周病は、歯周ポケットに溜まったプラークが歯石化することで、歯肉や歯根の炎症を引き起こす病気です。

最近の研究では、その原因となる歯周病菌は、口腔内で繁殖するだけでなく、血液によって全身に運ばれることが分かってきています。

歯周病菌が全身に広がると、心臓疾患や糖尿病リスクなど、それぞれの組織で悪影響を及ぼすとされています。

腸内環境の悪化で免疫力が低下

腸内環境の健康状態は、免疫力に大きな影響を与えることで有名です。

アトピー などアレルギー疾患を緩和するには「腸内環境を整えよう」といった情報をよく耳にします。

このように腸内細菌は、免疫系の調整に重要な役割を担っており、健康な腸内を維持することが、免疫力を高める上で大切です。

逆に、腸内環境が乱れると、免疫力は低下します。

まとめ

口腔環境と腸内環境は密接に関係してぃす。

歯周病を改善すると腸内環境も良くなり、腸内環境を整えると口腔状態の健康も維持されやすくなります。

それぞれの悪化因子に共通の栄養素があるため、どちらかの改善意識を持つことで両方に改善効果が期待できると言えます。

腸内環境が悪くなり、リーキーガット症候群になると免疫力低下につながる可能性があります。

免疫力が低下すると歯周病などのリスクも高まるので、注意が必要です。

もちろん、口腔と腸内のつながりについて、まだ解明されていないことが多いのも確かです。

しかし、口腔環境を整え、歯周病を改善することは、全身の健康にとって良い影響を与えることは間違いありません。

口腔ケアと腸内環境の改善を同時に行うことで、より健康的な体を維持することが望めます。